HOME > インフォメーション一覧 > 2006年8月18日付 日本経済新聞 掲載記事 「出土品の保存に日中が共同研究」
金沙遺跡や船棺遺跡の出土品の保存に関し、成都文物考古研究所と京都造形芸術大学、文化財保存処理の𠮷田生物研究所(京都市)が共同研究を行っている。出土品の大半は外気にさらすと、地中に埋まっていた間に吸った水分が飛んで形が崩れ、色もあせるので、発掘時の状態を保つためには保存処理が欠かせない。
木製品の保存は吸った水分に置き換えて高級アルコールを浸み込ませる方法で行われている。共同研究により保存処理の終わった木製品は約三千年前のスキや建築物などだ。象牙は保存処理例が少ないため難題だったが、京都造形芸大の岡田文男教授と𠮷田生物研究所の𠮷田秀男社長らが断片を材料に試験を繰り返し、水溶性樹脂を含浸させる技術にメドを付けた。
成都市内に早ければ今年十二月、金沙遺跡博物館が開館する予定だ。同館は発掘現場を屋根で覆って見せるようにした遺跡館と金沙遺跡の出土品を中心に約五千点を展示する陳列館(地下一階、地上三階)などから成る。遺跡館は面積約七千平方メートル、陳列館は延べ床面積一万五千平方メートル。日中共同研究で保存処理の終わった木製品も展示される。