HOME > インフォメーション一覧 > 2010年4月9日朝日新聞 掲載記事「生きた化石」体内くっきり
2010.4.9(Fri)
赤褐色の卵、中が空洞になった脊柱(せきちゅう)など、シーラカンスの体内の特徴がわかる珍しい標本ができた。東京工業大の岡田典弘教授らの研究チームが昨年、タンザニアの研究所から寄贈されたシーラカンスを解剖。𠮷田生物研究所(京都市)が、体の水分を樹脂におきかえて固める特殊な技術で標本にした。
シーラカンスは約3億8千万年前からほとんど姿を変えていない「生きた化石」。硬いうろこにおおわれ、四足動物の足につながったとされる関節のある頑丈なひれがある。卵を体の外に出さず、体内で稚魚にする「卵胎生」も特徴だ。脊柱は中が空洞で、解剖した当時は軟らかくて、「イカリング」のような感触だったという。
「解剖した際には天皇陛下が観察された。興味をもってごらんいただいた部分を、そのまま標本にできた」と岡田教授。東京工業大で展示する予定という。(瀬川茂子)
シーラカンスの内臓の標本 (京都市山科区)高橋一徳撮影